Greysheet提供:市場の動き(2022年9月)

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2022年の最後の4ヶ月に向かっている現在、希少コイン市場はどのような状況にあるのでしょうか。

 

最近目立っているのは、近い将来、あるいは長期的に非常に希少で重要なアイテムが市場に出てくるという発表が絶え間なく続いているということです。確かに、毎年、画期的なコレクションや重要な一点物の売却があるのは事実ですが、過去15ヶ月間と今後6ヶ月間は、希少な米国コインが莫大な量で取引されています。希少コイン市場は、世界経済と連動してこの3ヶ月で多少冷え込みましたが、貴重なコインの所有者たちは依然としてオークションへの出品を望んでいます。

これは、2つの意味で捉えることができます。1つ目のシナリオは、売却者が需要や価格が軟化し続けると懸念し、今売却した方が得策と考える「逃げ腰」の姿勢であるというもの、2つ目のシナリオは、売却者が保有資産の価格上昇に満足しており、通常の投資あるいはポートフォリオ管理の一環として今が売却すべき時期だと考えているというものです。

近い将来販売される(あるいはこの号が印刷・郵送される頃にはすでに売却されている)重要なもののほとんどは、非常に長い間市場から姿を消していたコインです。さらに、希少な年代及び高品質の金貨の多大な供給源であるフェアーモント・コレクション(Fairmont Collection)のオークションも現在まだ進行中です。スタックス・バワーズの2022年8月グローバル・ショーケース・オークション(The Stack’s Bowers August 2022 Global Showcase auction)では、この膨大なコレクションからハーフ・イーグル硬貨、イーグル硬貨、そしてダブル・イーグル硬貨が再び出品されます。加えてこのオークションでは、ワイヤー・エッジとロールド・エッジの両方の10ドル・インディアン硬貨の他に、PCGS PR65DCAM の1864年プルーフ10ドル硬貨やPCGS/CAC PR65DCAMの1887年プルーフ20ドル硬貨など、素晴らしい未使用品及びプルーフのコインを含むモカッタ(Mocatta)コレクションも登場します。個人的な意見になりますが、私にとってこのコレクションで明らかに際立っているのは、PCGS/CAC PR67CAMと鑑定された1825/4/1のプルーフ・ハーフ・イーグル硬貨です。このコインが公の場で最後に登場したのは、1954年のエジプトの宮殿コレクションズ(ファールーク王セール)でした。しかし、当時セールへ参加することはたやすくなかった上に、サザビーズがカタログを急遽作成したため、この場合は「公の場での登場」という言葉を文字通り受け取らない方が良いでしょう。このコインの伝説を少し付け加えると、ファールーク王の代理人が、1947年にスタックスによって開催されたルイス・エリーアスベルク(Louis Eliasberg )の「複製品」のオークションでそれを購入したとされています。驚くべきことに、3枚しか知られていないこのフルーフ・コインの別の1枚の標本も、ハリー・バス(Harry Bass)コレクションの一つとして間もなく市場に出る予定です。モカッタという名は、1684年に金と銀の主要なブローカー業務会社として設立され、主要な中央銀行及市中銀行と取引を行なっていたために地金ビジネスにおいて名声が高いです。過去1世紀にわたり、ハムブロス銀行(Hambros Bank)、スタンダード・チャータード銀行(Standard Chartered Banの所有を経て、最終的にはスコティア銀行(Scotiabank)が3年前に事業を終了させました。

 

話を米国コイン市場に戻すと、今年度200万ドルの落札価格を超えるコインが未だ現れていないということは、私にとっては驚くべきことです。2021年には、それが定期的に起こっていたからです。今のところそれに最も近いのは、1月に180万ドルで落札された1861年のダブル・イーグル硬貨です。200万ドルを突破する可能性が最も高いのは、明らかに1825年のプルーフ・ハーフ・イーグル硬貨でしょう。

 

他の市場でもコインは、価格が正しく設定されていることが条件ですが、比較的簡単に売れています。これは当たり前のように聞こえるかもしれませんが、市場が急激に変動する時、ディーラーは対応を遅れることがあります。卸売りの方では、価格の下落によってフローが軟化しているため、コインがより購入しやすくなっています。収集家による250ドルから1000ドルまでの価格帯のコインの需要は非常に安定しており、これは確かに見過ごせないポジティブなポイントです。金銀地金は理論上、これまでよりも安価なっていますが、大量な購入が困難なので、購入者は代わりに収集コインに目を向けています。地金にかかっているプレミアが高い現在、コインは信頼のできる代替品となっています。

 

ワールズ・フェア・オフ・マネーは、今後6ヶ月の市場の変動を分析する重要なショーになると思いますので、その動向を観察することを大変楽しみにしています。ディーラーたちの行動と購買意欲こそが、実際の需要の大きさを知る上で重要な鍵となるでしょう。

 

当コラムは元々CDN Publishingの「Monthly Greysheet」のものですが、こちらで初めて日本語で公刊されます。英語の原文はGreysheetのホームベージからお読みいただけます 

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