どのコイン販売店が最も古いのか、最も大きいのかとか、オークションを最も多く開催しているのかということを知るのはそれほど難しいことではありません。けれども、どのコイン販売店が最も美しいのかという問いは極めて主観的です。ドイツの中で私の個人的なお気に入りはハイデルベルグ・コイン販売店(Heidelberger Münzhandlung)です。ヘルベルト・グリューン (Herbert Grün)氏は美しい歴史主義様式のヴィラ(屋敷)に会社を構えることにしました。もちろん、ハイデルベルグには素晴らしい歴史主義様式の建築物が他にも多数ありますが、このヴィラの内部は今日までそのまま残っているので、他の建物と比べてもその素晴らしさが際立っています。このため、ハイデルベルグ・コイン販売店で、19世紀のある裕福なハイデルベルグの市民が作った建物全体を称賛しながら眺めることができます。
ロマン主義の中心地のハイデルベルグ
このような屋敷がハイデルベルグに建てられたことは決して驚くようなことではありません。なんといっても、ハイデルベルグはドイツ歴史主義(ロマン主義)の発祥の地と考えられていますから。ハイデルベルグの城跡はある種の巡礼の地となりました。ヘルダーリン、ブレンターノ、ティーク、アイヒェンドルフ、ジャン・パウルなど主要なロマン派の人たちは、いずれもある時期ハイデルベルグを訪問しました。彼らは、そびえ立つ孤独な廃墟に圧倒されて高揚する思いを手紙や作品で絶賛しました。この廃墟は、ハイデルベルクに憧れる感情を世代を超えて呼び起こしました。ハイデルベルグはこのことで多くの利益を得ましたが、それは既に19世紀末から始まっていました。1850年以降、ハイデルベルグは裕福な人々が人生を謳歌する場所となりました。そしてその目的にふさわしい屋敷を建てさせました。
ドイツの最も美しいコイン販売店
ハイデルベルグ・コイン販売店(Heidelberger Münzhandlung)は、こうしたヴィラが立ち並ぶお屋敷街にあります。この建物の特徴は、いまでも元の内装がそのまま残っていることです。他の多くの19世紀の建物の内装は、時代遅れだとか、時には悪趣味だとか思われて、建物の所有者によって20世紀の間に取り壊されたり塗り直されましたが、このガイスベルグ通り40番地の屋敷の化粧漆喰細工や絵画は全てそのまま残っています。
ヘルベルトとスージ・グリューン夫妻は州の史跡保護局の協力のもと、この屋敷を模範的に改修させました。このため、このハイデルベルグ・コイン販売店(Heidelberger Münzhandlung)がドイツで最も美しい、もしくは最も美しいコイン販売店の一つだと個人的に思っています。私が素敵だと思うこの建物と、その詳細を写真でご覧いただけます。
皆様の中で、もしもこれより美しいコイン販売店をご存知でしたら、またはこれより美しいコイン販売店のオーナーでいらっしゃるのでしたら、どうぞ写真とともにその旨お知らせください。この「月刊コイン」でぜひご紹介したいと思います!
こちらから、ハイデルベルグ・コイン販売店(Heidelberger Münzhandlung)のウェブサイトをご覧いただけます。