忘れ去られたD-Day:「D-Day」の理由とその利点〔第7部〕

この10進法計算器は、ポンド、シリング、ペンスから、1971年の10進法通貨への移行を容易にするために製作された。
この10進法計算器は、ポンド、シリング、ペンスから、1971年の10進法通貨への移行を容易にするために製作された。
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1964年、英国における「10進法通貨制度導入」の可能性を調査するため、フリスク卿(ウィリアム・ジェフリー・フリスク)を会長とする「10進法通貨委員会(Decimal Currency Board)」が設立された。その調査の結果は、直ちに大蔵大臣と内閣に提出され、新しい10進法の通貨制度の導入が圧倒的に支持されることとなった。国際的な単位系であるメートル法(Systeme International‐SI)に適合させることが最も重要であり、その「多くの利点」がさかんに発表された。旧(12進法)通貨制度の問題は、店番や会計、ビジネスや貿易、あるいは現在の「STEM」という科学、技術、工学、数学の革新や研究といった枠組みだけではなく、シリングやペニーなど1ポンド未満の額で計算を子どもに教えながら、10進法も教えなければならないという困難を抱えていた。要するに、英国の子どもたちの教育が滞っていたのである。通貨を10進法化すれば、小学生の授業時間を6カ月も短縮できると試算されたのである。

10進法化の時代のお役立ちグッズ:換算表が書かれたティーカップ。写真: Paul Downey - CC BY 2.0.
10進法化の時代のお役立ちグッズ:換算表が書かれたティーカップ。写真: Paul Downey – CC BY 2.0.

本シリーズは、CoinsWeeklyに以前掲載された記事を日本人の読者様向けに修正したものです。英語の原文はこちらでご覧いただけます。

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