パトリック・イアン・ペレズ(ミハウ・スクビシュ訳)
スタックス・バウアーズ(Stack’s Bowers)による昨年11月下旬の1470万ドルを超える米国コインとその関連品の売却をはじめとした年末に向けた市場において、小波乱がありました。そのスタックス・バウアーズは、2021年の1年間で世界中からのコインと古代のコインを1億ドル以上売却しましたが、これは世界の貨幣市場の成長だけでなく、アメリカのオークション会社が世界最高の商品を提供していることを示しています。12月、ヘリテージは年末の「在庫削減」の米国コイン・シグネチャーオークション(Signature action)で500万ドル弱の売上げを得ました。ただし、重要なヘリテージの「FUN」オークションは、新型コロナウイルス予防政策の一環として一週間延期(ショーの終了後に)されたので、その結果について報告できるのは次号以降となります。
今年は、希少なコインにとって当たり年であったことは言うまでもありませんが、これは驚くことではありません。株式市場の年末の収益を見るだけで、資産価格の騰貴の度合いが分かるでしょう。S&P 500種株価指数は年末までに28.71%上昇し、70の取引日に終値の新たな最高値を記録しました。S&Pのエネルギーセクターは54.64%増、不動産セクターは46.19%増、金融セクターは35.04%増となりました。世界の他の地域では、カナダのS&P トロント総合指数が25.09%上昇、S&P欧州350指数が26.07%上昇、そしてオーストラリアのASX 200が17.23%上昇しました。
世界で最も優秀なアセット・マネージャーでも、このような収益を上回ることは困難でしょう(パッシブ型投資vs.アクティブ型投資議論)。実際、あまり知られていないことですが、過去20年間で、大型株・中型株・小型株やコア型・グロース型・バリュー型など、あらゆるタイプの米国株式ファンドのうち、基本指数を上回ったのは10%未満(正確には9.62%)でした。これは、投資家が上場投資信託やオプションを通じて指数を購入し、管理手数料を節約しつつも、利益を得られたであろうことを意味します。したがって、このことを認識している投資家にとって希少なコインのような有形資産は非常に良い選択肢であることとなります。
希少なコインは、保険以外に管理費や他の維持費を必要としません。一度希少なコインを購入すれば、それが最終的なコストになります。今後まだしばらく続くと思われるインフレの誘発し、ゆえに資産価格のインフレを促進する市場環境にいる限り、需要は持続するのです。
2021年の最後の数ヶ月でその重要性を増してきた他のトレンドとしては、希少なコインのオークションにおけるビットコイン硬貨の物理的な登場があります。暗号通貨のごく初期に作られたこれらの注目すべき作品は、PCGSによって認定され、これまでに取引された数枚は、その「本来の」価値の何倍もの利益をもたらしました。暗号通貨のコンセプトは仮想にあり、つまり物理的ではないにもかかわらず、「ビットコイン」の物理的な硬貨が高値で販売されているというのは、不思議な現象です。これは、難破船や米国の貴金属純分検定所等からの銀塊や金塊がその原材料価値の何倍もの値段で取引されるのと同じようなものでしょう。
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