キューンカー社、オスナブリュック
オークション376–377
2022/10/18–21
今年のキューンカー社の秋季オークションは、2部から構成されており、10月18日から22日にかけては、アンティークコインのみが出品されました。オークション376および377は多数の高質な標本が含まれた約2000ものロットが出品されたことで、キューンカー社の最大なオークションになりました。落札予想価格はほぼ400万ユーロ(約5億8000万円)であり、最終的に達成した落札合計額は注目に値する700万ユーロ(約10億円)に及びました。
キューンカー・オークションのトップ10
こちらのオークション・レビューでは、両方とものアンティーク・オークションのトップ10のロットをご紹介いたします。2枚のコインが同じ価格で落札された場合は、落札予想価格がより低かったコインの方が高い順位になります。ただし、落札価格も落札予想価格も同じである場合は、同様の順位になり、次に低い順位が1つ飛ばされます。
第9位
トップ10ですが、上記の設定に従い、第9位が2枚のコインに与えられたため、第9位から始めます。両方のロットとも落札予想価格が30,000ユーロと見積もられ、両方とも55,000ユーロに値段が上昇しました。その中で1枚目のコインはローマ皇帝クラウディウスのアウレウスです。そのアウレウスは不思議なまでに現実的な肖像が刻印され、細部まではっきりしており、そして人気な「未使用品」という保存グレードを有しています。
第9位
2枚目のコインは、イタリア南部に位置する古代ギリシャの都市タメサにその由来を遡ることができます。キューンカー社がオークションに出品していたテメサのスタテルは刻印が完全に中心に打たれただけでなく、見事に保存されています。そのために、知られている限りでは最も良い標本であるとされ、それが落札予想価格をほぼ2倍と上回った要因でしょう。
第8位
紀元前5世紀のシラクサ市では、当時の最も熟練な鋳造師が働いていました。その一人のキモンは、キューンカー社のオークションに出品された100リトラの金貨の原型をデザインしました。出品されたコインはキモンの作った鋳型を使用して鋳造されませんでしたが、それでも鋳造を担当した芸術家は見事な絵の刻印に成功しました。このコインの由来は1965年まで遡ることができます。保存状態は極美品で、落札価格は50,000ユーロという落札予想価格から65,000ユーロにまで上昇しました。
第7位
パノルモス(現パレルモ)のテトラドラクマは、65,000ユーロで落札され、30,000ユーロの落札予想価格から2倍以上もの価格を達成しました。シラクサのテトラドラクマの素晴らしく保存されているカルタゴの模作ですが、例外的にギリシャの原本と比較しても一切劣っていません。
第6位
紀元前380年から362年にかけて「サトラップ(太守、総督)」としてリュキアを統治していたペリクレスのスタテルも同様です。ギリシャの民族とペルシア帝国の境目にできた当初の肖像です。このコインは、その優れている保存状態がゆえに鋳造師の腕前が分かることで注目に値します。20,000ユーロと見積もられていましたが、最終的に70,000ユーロで落札されることになりました。
第5位
324年にニコメディアで鋳造された1½ソリディウス相当のこのロケットは、究極の希少性を有すると言っても過言ではありません。50,000ユーロで見積もられていましたが、75,000ユーロで落札されることになりました。
第4位
紀元前480年から435年の間に鋳造されたキュレネ市のテトラドラクマは、まさに魅力的な古代的なゼウスアモン神の肖像を有します。このコインは、洗練された細かいスタイルと見事な色調がゆえに30,000ユーロと見積もられ、75,000ユーロで落札されました。
第3位
今回のオークションの3番目に高価なコインは、極めて現実的な肖像のあるガルバ帝のアウレウスであり、当初60,000ユーロで見積もられましたが、最終的に80,000ユーロを達成しました。コインに描かれているガルバ帝は、通常アテナの持つ甲冑であるアイギスを身に着けています。
第2位
シラクサのこの素晴らしいコインは一見して他のトップ10のコインと全く違うように見えます。裏面には、スタイルがアレトゥーサの肖像とかなり似ており、小さな矢筒と蜂のみでアルテミスだと判断ができるアルテミスの頭部が描かれています。裏面は、勝利の女神ニケが、コインの発行者であるピュロスの名の文字に月桂冠を戴冠しようとする姿が見られます。
第1位
340,000ユーロという落札価格を以て、375年と378年の間に鋳造されたウァレンス帝の魅力的なロケットが今回のオークションのトップロットとなりました。見積もりの段階で既に200,000ユーロの価値があると想定されていたのです。しかし、それは不思議なことではありません。なぜなら、重い金製ロケットがアンティークコイン収集の中で至高の分野とされているからです。20.39gでこのコインは4½ソリディウス相当の価値を有し、高級の将校または行政官のための贈り物だったのです。
このような種類のコインは3枚しかありません。その中でキューンカー社のオークションに出品された標本は保存状態が遥かに他の標本より優れており、同時に自由市場に登場している唯一の標本なのです。残り2枚は既に博物館で展示されています。
このレビューでは高価なコインしか紹介しませんでしたが、今回のオークションにも比較的安価に購入できたコインが数多くありました。気になる方は、是非ご自身でオークションの結果をご覧ください。コイン収集というのは、誰でも楽しめる趣味ですもの!
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